【超精密加工を武器に半導体から医療まで】鈴木(6785)について特集!

AI・半導体
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個人的に注目している銘柄を1社ピックアップして紹介します。今回は、長野県に本社を置く精密部品メーカー、株式会社鈴木(証券コード:6785)について特集します。

鈴木は超精密微細加工技術を核に、スマホ向けコネクタから、自動車電装部品、半導体関連装置部品に至るまで精密部品製造に特化したメーカーです。
この企業の強みや今後の成長性・リスクについて解説するとともに、現在の業績・株価水準の分析結果もあわせて共有します。興味があれば参考にしていただけると嬉しいです。

鈴木をざっくり評価

  • 収益性
    4
  • 経営効率
    2
  • 成長力
    4
  • 割安度
    3
  • 株主還元
    3
鈴木の優位性
  • 創業以来磨き上げた超精密微細加工の金型技術が圧倒的な参入障壁を形成
  • スマホ用コネクタ・自動車電装・医療組立・自動機器という4つの市場で事業を展開
  • 無借金経営に近い健全な財務体質に支えられた株主還元
  • PER13倍・PBR1.6倍という水準はハイテク関連銘柄の中では割安。
  • 2025年6月期は売上高333億円(前期比+20%)・純利益28億円(同+22%)で過去最高更新。2026年6月期は通期予想の上方修正を2度実施する好調ぶり。
  • スマホのモデルチェンジに連動した受注と自動車電装・医療分野での安定成長を両立。高速通信コネクタ市場への参入を機にAI・半導体分野での更なる成長に期待。

鈴木はどんな企業?

さまざまな形式のケーブルコネクタ

まずは鈴木がどんな企業なのか簡単に紹介します。企業基本情報を以下の表に示します。

企業概要
会社名株式会社鈴木
SUZUKI CO., LTD.
証券コード6785
業種電気機器
上場市場東証プライム市場
設立年1933年
資本金14億3,500万円
従業員数1,091名(連結)※2025年6月30日現在
事業内容▼ 精密プレス金型、精密モールド金型
▼ コネクタコンタクト、コネクタハウジング
▼ 自動車電装部品
▼ SMT関連装置、半導体関連装置、専用機
▼ 医療器具組立

鈴木株式会社は、1933年の創業以来長野県に拠点を置き精密加工技術を磨き続けてきており、「超精密微細加工技術」という唯一無二のコア技術を起点に、時代の変化に合わせてスマートフォン・自動車・医療・産業機器という異なる成長領域へと事業を広げてきた企業です。

中国での現地生産体制を活かしたコスト競争力の高さと、長野での高精度製造能力の融合が同社の事業基盤を支えています。

鈴木の事業内容

鈴木のビジネスは大きく4つのフィールドに分かれています。

金型事業

金型の写真

高速で大量に部品を製造するために必要な精密プレス金型・精密モールド金型の設計・製造を担っています。スマホ用・車載用・電子機器向けと幅広く、全事業の根幹を支えるコア事業となっています。

部品事業(コネクタ)

コンタクトのプレス加工の様子

スマートフォン向けの電子部品コネクタや自動車の電装部品用コネクタ・EVに搭載されるリチウムイオン電池向けの部品を製造。売上の7割超を占めており急成長を遂げています。

機械器具事業

液晶ディスプレイに使われるLED実装装置等の産業用自動機器と医療器具組立の2つの領域に分かれています。医療器具組立は需要が計画を超えて堅調に推移しており、自動機器は半導体・産業機器向けが緩やかに回復の兆しを見せていることが2025年6月期の決算時に発表されています。

賃貸事業

保有不動産の賃貸を行う事業です。安定的なキャッシュフローを提供し、他事業の投資余力を支援する役割を担っています。

鈴木の強みとは?

鈴木が安定した高収益と継続的な成長を実現できている主な強みを3つ挙げます。

鈴木の優位性
  • 超精密微細加工技術が生み出す参入障壁の高さ
  • スマホ・自動車電装・医療・自動機の収益の多角化による業績の安定感
  • 無借金経営に近い健全財務と積極的な増配姿勢

強み①:超精密微細加工技術が生み出す参入障壁の高さ

金属部品の外形をマイクロメータで測定している

鈴木の最大の強みは、創業以来90年以上にわたって蓄積してきた「超精密微細加工技術」です。スマートフォンや自動車に搭載されるコネクタは、年々小型化・高密度化が進んでおり、その製造に使う金型にはミクロン単位の精度が求められます。

この精度を安定して実現できる技術・設備・人材を短期間で構築することは競合他社には非常に困難であり、既存顧客との長期取引関係を守る強固な参入障壁として機能しています。

特に鈴木の金型事業は売上比率は小さいものの、スマホ用コネクタ部品などを供給する部品事業の高い収益性の源泉となっています。自社で金型を保有・改良できるため、顧客のニーズ変化に素早く対応する柔軟性も持ち合わせています。

強み②:スマホ・自動車・医療・自動機の収益の多角化による業績の安定感

スマートフォン・自動車製造ライン・医療用カテーテル・自動機械の4つのイメージ

鈴木の売上の約77%を占める部品事業は、スマートフォン向けと自動車電装向けの製品の2つで構成されています。スマートフォン向けコネクタは毎年秋〜冬に発表されるiPhoneやGoogle Pixelの新モデル発売サイクルに合わせた定期的な受注が発生し、年次の業績の柱となっています。

一方で、自動車電装向けは電動化(EV・PHEV)の進展に伴うコネクタ搭載点数の増加が続いており成長トレンドに乗っています。

これに加えて機械器具事業(売上比率19%)では医療器具組立が景気変動に左右されにくい安定成長を続けており、スマホ需要が低迷する局面でも医療・産機が業績を下支えします。この事業の多角化が鈴木の業績の安定成長につながる強みとみています。

強み③:無借金経営に近い健全財務と積極的な増配姿勢

オレンジベースのグラフ資料と電卓、キーボード、付箋が並んでいる

鈴木は自己資本比率68%・有利子負債も少ない財務健全性を保っており、景気悪化局面でも経営の安定性が高い企業とみています。この強固な財務体質のもと、2023年から継続的な増配を実施しており、2026年6月期は年間配当105円(前年比+20円)を予定しています。

配当性向は40.7%で、利益の伸びに連動した増配の余地が残っており今後の還元強化への期待ができます。割安な株価水準と高い配当利回りは、長期投資家にとって魅力的な組み合わせです。

投資先としてみた鈴木

青をベースカラーとした財務諸表のファイルと分析資料

業績の推移

鈴木の直近5年間の業績推移を確認します。2022年に一旦売上高が減少したもののV字回復を遂げてきています。その間に営業利益率12%超、ROE10%超の水準まで上げてきており、高付加価値製品の投入を進め成長し続けています。

▼ 直近5年間の業績推移

鈴木の直近5年間の売上高・営業利益率・ROEの推移グラフ
出典:株式会社鈴木 2021年6月期~2025年6月期 決算短信をもとに筆者作成

2022年6月期は、スマートフォン市場の需要調整と自動車減産の影響が重なり、一旦営業利益が低水準に落ち込みました。2023年6月期からは回復に転じ、2025年6月期はスマートフォン向けコネクタの好調と自動車電装部品の受注増加を背景に、売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。

2026年6月期の業績予想については、1月、4月に2度の上方修正を発表しており、売上高401億円(前期比+20.3%)、純利益37.3億円(同+35%)と好調な決算内容が期待されます。

株価の推移

鈴木の直近3年間の株価月足チャートを以下に示します。

▼ 直近3年間の株価月足チャート

鈴木の直近3年間の株価月足チャート
出典:TradingView 鈴木(6785) 月足チャート 赤ライン:12カ月移動平均 青ライン:24カ月移動平均 緑ライン:60カ月移動平均

鈴木の株価は、直近3年間は長期の上昇トレンドに乗って順調に伸びています。2025年8月からは中間決算発表をきっかけに株価上昇が加速し、現在までに約2倍の3,400円台まで到達しています

ファンダメンタルズ分析

▼ 株価水準・業績・株主還元指標(※PER/PBR/配当利回りは2026年6月3日時点で計算)

鈴木 分析指標
PER13.1倍
PBR1.6倍
2025年6月期 ROE10.6%
2025年6月期 ROA7.2%
2025年6月期
自己資本比率
67.7%
2026年6月期
予想配当利回り
3.1%
2026年6月期
予想配当性向
40.7%
直近10年 配当実績増配5回 減配1回 据置4回
株主優待なし
出典:株式会社鈴木 2025年6月期決算短信資料

PER13.1倍・PBR1.6倍と割安感のある株価水準です。収益性についてもROE10.6%・ROA7.2%と良好な水準にあり、経営効率の高い企業であることがうかがえます。

自己資本比率67.7%は高い水準にあり、財務の安定性も良好です。業績成長に応じた配当性向の引き上げを行っており、業績成長に伴う配当の増配が見込まれることから、長期保有による配当の積み上げ効果も大きいと評価できます。

鈴木の将来性

ドットで描かれた世界地図に光のラインが複数引かれている

鈴木の業績がこれからどうなっていくのか、今後プラスに働くと思われる要因とリスク要因をそれぞれ2つ解説します。

プラス要因①:医療・自動機器の安定成長と半導体向け新領域展開

医療器具組立事業は少子高齢化・医療技術の高度化という需要拡大トレンドを背景に安定した成長を続けており、景気変動に強い安定収益源として成長しています。

また自動機器事業では半導体・産機向けの製品を供給しているため、AIデータセンターの設備投資が世界中で拡大していく中で、収益を押し上げる可能性があります。実際に2025年6月期の決算説明資料では、高速通信向けコネクタ市場への参入に向けた動きについて示しています。

プラス要因②:自動車のEVシフトに伴うコネクタ搭載点数の増加

自動車1台に搭載されるコネクタ数は、ガソリン車に比べEV・PHEVでは数十倍に増加します。バッテリー・パワートレイン・車載カメラなど、電動化に伴い電気的な接続箇所が急増するためです。

鈴木の自動車電装向けコネクタ事業はこのEVシフトの恩恵を受けやすい立場にあり、自動車の電動化が進む中長期にわたり安定した需要成長が期待されます。

リスク要因①:スマートフォン市場の需要変動リスク

部品事業(売上の約77%)のうち、スマートフォン向けコネクタが主力であり、スマホの出荷台数や新モデルの売れ行きに業績が大きく左右されるため、景気後退やスマホ買い替えサイクルの長期化が起きた場合、受注が急減するリスクがあります。

2022年6月期〜2023年6月期の業績低迷がその典型であり、スマホ市場の需要サイクルへの感応度は依然として高い点には注意が必要です。

リスク要因②:中国生産による地政学リスクと為替変動

海外売上比率約34%・中国での現地生産という鈴木の事業構造は、米中貿易摩擦や台湾有事リスクを有しています。特に中国からの輸出品に対する関税強化や、中国製造拠点の操業制約が生じた場合は生産コストと納期に直接的な悪影響が及びます。

また円相場の影響もあります。円安は輸入原材料コストの上昇要因となり、海外売上は円高がマイナスに働く相反する特性があり、為替変動リスクは避けられません。

まとめ:超精密加工を武器にコネクタでの成長に期待!

今回は超精密加工技術を武器にスマホ用コネクタ・自動車電装品などに強みを持つメーカー、鈴木(6785)について分析しました。以下に主なポイントをまとめます。

  • 1933年創業の精密金型・コネクタ部品メーカー。超精密微細加工技術を核にスマホ・自動車電装・医療・産機の4領域に事業展開する。
  • 2025年6月期は売上高333億円(前期比+20%)・純利益28億円(同+22%)で過去最高を更新。2026年6月期は2度の上方修正を経て売上高401億円(前期比+20.3%)、純利益37.3億円(同+35%)と好調をキープ
  • PER13倍・PBR約1.6倍・配当利回り3.1%という水準は、過去最高益更新中の成長企業としては割安。自己資本比率68%・無借金経営に近い財務体質で株主還元余地は大きい。
  • 自動車のEVシフトに伴うコネクタ搭載点数の増加・高速通信コネクタ市場への参入といった成長ストーリーに期待。

鈴木(6785)は、超精密加工技術という替えの利かない技術や優良な財務基盤が揃っているにもかかわらず割安の株価水準にあるバリュー株です。PER13倍前後・配当利回り3%台という水準は、長期投資の観点からは魅力的であり、注目しています。

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