【カメラレンズのグローバルトップ企業】タムロン(7740)について銘柄分析!

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個人的に注目している銘柄を1社ピックアップして紹介します。今回は、カメラ用交換レンズで世界的なシェアを持つ光学機器メーカー、株式会社タムロン(証券コード:7740)について特集します。

この企業の強みや現在の業績・株価水準の分析結果、今後の成長性・リスクについて、解説していきます。興味があれば参考にしていただけると嬉しいです。

タムロンをざっくり評価

  • 収益性
    5
  • 経営効率
    3
  • 成長力
    5
  • 割安度
    4
  • 株主還元
    3
タムロンの優位性
  • 独自の光学設計・製造技術を核に、ミラーレス用交換レンズのブランド力と開発力を保有
  • 自社ブランド・大手メーカー向けOEMの両輪で写真関連事業の高い利益率を実現
  • 監視カメラ・FA・車載カメラ・医療用レンズなど多方面へのレンズ製品の展開
  • PER12倍・PBR1.9倍という割安な株価水準ながら、ROE14%と高い収益性を誇る。
  • 自己資本比率70%超の非常に健全な財務体質と、配当利回り3.6%株主還元も魅力的。
  • 2025年12月期の一時的な減収減益から2026年12月期に増収増益(売上910億円・営業利益185億円)へ回復の見通し。業績回復フェーズでの増配に期待

タムロンはどんな企業?

湖で望遠レンズ付きのカメラを構える男

まずはタムロンがどんな企業なのか簡単に紹介します。企業の基本情報を以下の表に示します。

タムロン 企業概要
会社名株式会社タムロン
Tamron Co., Ltd.
証券コード7740
業種精密機器
上場市場東証プライム市場
創業年/設立年1950年/1952年
資本金69億23百万円(2025年12月31日現在)
従業員数4,977名(連結)(2025年12月末)
事業内容▼ 写真関連事業
▼ 監視&FA関連事業
▼ モビリティ&ヘルスケア・その他事業

株式会社タムロンは、「写真好きなら一度は使ったことがある」というくらいカメラ用交換レンズ市場での確固たる地位を築いてきたレンズ専業メーカーです。長年、写真関連事業を主軸に成長してきましたが、近年は監視カメラ・FA(ファクトリーオートメーション)・車載カメラ・医療用レンズへの事業展開を加速させており、写真関連事業に依存しない収益構造の構築を進めています。

タムロンのビジネス内容

タムロンは、レンズの用途別に以下3つの事業を展開しています。

写真関連事業

望遠レンズ付き一眼レフを持つ手元

一眼レフカメラやミラーレスカメラ用の交換レンズを供給している事業です。自社ブランド(約35%)と大手カメラメーカー(主にソニーグループ)など他社ブランドの製品を製造するOEM供給(約65%)の二本柱で構成されています。

大手カメラメーカーへのOEM供給を安定した収益基盤としつつ、利益率の高い自社ブランドレンズとの両輪で高い利益率をたたき出しているタムロンの主力事業です。

監視&FA関連事業

撮影中の監視カメラ

監視カメラ用レンズが主力の事業です。中国市場向けの監視カメラレンズが特に好調で2020年から増収基調にあります。その他、工場での製造ラインや検査工程の機械に使用されるFA(ファクトリーオートメーション)用レンズも展開し、産業自動化の需要も取り込んでいます。

モビリティ&ヘルスケア・その他事業

自動運転車両のイメージ

車載カメラ用レンズが主力の事業です。近年の自動運転・先進運転支援システムの普及に伴い、自動車の目となるカメラの搭載点数が増加しており成長ドライバーとなっています。その他、ドローン用レンズや、医療用レンズなど新領域への展開も進めています。

タムロンの強みとは?

タムロンがレンズ専業メーカーとしてグローバル市場で確固たる地位を確立できている主な強みを3つ挙げます。

タムロンの優位性
  • 世界的な交換レンズブランドを築き上げた光学技術力・設計力
  • レンズOEM供給ビジネスによる安定収益基盤
  • 監視・FA・車載・医療という4つの成長市場への横展開力

強み①:世界的な交換レンズブランドを築き上げた光学技術力・設計力

タムロンの最大の強みは、BBARコーティング・eBANDコーティングといった独自の反射を防止するレンズコーティング技術や、手ブレ補正機構など長年の研究開発によって培われた光学技術です。

BBAR(Broad-Band Anti-Reflection)コーティング:レンズ表面へ複数層のコーティングを施すことで、レンズに入る光の反射を抑え被写体をクリアに映す技術

eBAND(extended Bandwidth & Angular-Dependency)コーティング:可視光だけでなく人の目に見えない近赤外線まで広い帯域の光を透過させるためにレンズに施すコーティング。外乱光によるぼやけ・光の模様の映りこみの防止や、被写体の高精度な撮影にも寄与する。

出典:レンズコーティング|タムロン株式会社

これらの技術は高画質の写真を撮影できる小型・軽量なレンズを求めるユーザーの根本的なニーズに応え、世界中のカメラ愛好家やプロカメラマンから高い評価を受けており、高いシェアを維持する基盤になっています。

また、ソニー・ニコン・富士フイルム・キヤノンといった様々なメーカーのカメラに接続できる新製品レンズを継続的に投入するなど、マルチマウント対応で対象市場を継続的に拡大する設計開発スピードの速さもタムロンの強みです。

強み②:レンズOEM供給ビジネスによる安定収益基盤

タムロンの写真関連事業は、自社ブランド製品(自社マウント対応レンズの直接販売)とOEM供給(カメラメーカーへの交換レンズの供給)の二本柱で構成されています。

OEM供給先の中心はソニーグループであり、ソニーは同時にタムロンの筆頭株主(保有比率約15%)でもあるという強固な関係を持っています。

OEM供給は市場の需要動向に合わせて柔軟に出荷量を調整できる一方、ミラーレスカメラ市場全体の拡大に伴って市場成長の波に乗りやすい利点があります。自社ブランドとOEMの組み合わせにより、写真関連事業全体で安定した収益が確保されている点が強みとして効いてきます。

強み③:監視・FA・車載・医療という4つの成長市場への横展開力

監視カメラ・工場の製造ライン・自動車・手術室のイメージが4分割で示されている

タムロンのもう一つの強みは、カメラ用交換レンズで培った光学設計・精密加工技術を、監視カメラ・FA・車載カメラ・医療用レンズという全く異なる用途に応用できる「技術の横展開力」です。

レンズという製品自体は共通の物理法則・製造プロセスに基づいているため、用途に合わせてレンズの仕様を変更することで複数の市場に同時にアクセスできます。

監視カメラ用レンズは中国市場向けを中心に成長しており、車載カメラ用レンズは自動運転・EVの普及という構造的な需要拡大の波に乗っています。写真関連事業がカメラ市場全体の需要動向に左右されやすい一方で、これらの製品は異なる需要サイクルを持つため、事業ポートフォリオ全体でのリスク分散効果も期待できます。

投資先としてみたタムロン

机の上にパソコン・グラフ類、電卓、コーヒーが並んでいる

業績の推移

タムロンの直近5年間の業績推移を確認します。営業利益率は20%近い水準まで達しており、ROEについても15%近くを推移するなど、収益力・経営効率は製造業としては非常に高い水準といえます。

▼ 直近5年間の業績推移

出典:株式会社タムロン 2021年12月期~2025年12月期 決算短信をもとに筆者作成

2024年12月期はミラーレス用交換レンズのラインナップ強化とOEM供給の好調が重なり、過去最高益を達成した一方、2025年12月期は、円高影響・OEM出荷の減少が主因となって、売上高851億円(前期比▲3.8%)・純利益117億円(▲19.0%)と減収減益に転じました。

2026年12月期については、売上高910億円(+7.0%)・純利益137億円(+16.4%)と増収増益へのV字回復を予想しています。

株価の推移

タムロンの直近3年間の株価月足チャートを以下に示します。

▼ 直近3年間の株価月足チャート

タムロンの直近3年間の株価月足チャート
出典:TradingView タムロン(7740) 月足チャート 赤ライン:12カ月移動平均 青ライン:24カ月移動平均 緑ライン:60カ月移動平均

タムロンの株価は2024年に入ってから1,200円付近まで急激に上昇し、その後は2024年末から2025年にかけて、650〜1,200円のレンジで大きく変動しました。2024年12月には増配発表が好感され株価が上昇する場面がありましたが、2025年12月期の業績の下方修正を受けて調整し、その後は1,000円付近で横ばいで推移しています。

60カ月移動平均線を見ると長期的な上昇トレンドは崩れておらず、再度株価が上昇し始めるタイミングが来るのではないかと期待が持てます。

ファンダメンタルズ分析

▼ 株価水準・業績・株主還元指標(※PER/PBR/配当利回りは2026年6月12日時点で計算)

タムロン 分析指標
PER12.0倍
PBR1.9倍
2025年12月期 ROE14.0%
2025年12月期 ROA11.3%
2025年12月期
自己資本比率
81.0%
2026年12月期
予想配当利回り
3.6%
2026年12月期
予想配当性向
43.5%
直近10年 配当実績増配8回 減配2回
株主優待なし
出典:株式会社タムロン 2025年12月期決算短信資料

PER12.0倍・PBR1.9倍ということから、やや割安な株価水準といえます。ROE14.0%・ROA11.3%という値の高さからは経営効率の高さがうかがえます。81.0%と非常に高水準な自己資本比率は、コロナ禍のようなカメラ市場が急激な縮小局面に陥っても事業を継続させる重要な要素として働いています。

株主還元についていえば、配当利回りは3.6%と比較的高い水準となっておりインカムゲインが狙えます。直近10年間で8回も増配を実施しており、2024年度のような業績拡大時に株主還元を強化する姿勢を示しています。2026年12月期も予想される業績回復が実現すれば、さらなる増配へ期待がもてます。

タムロンの将来性

タムロンの今後の業績に対するプラス要因2つとリスク要因2つについてイラスト付きで示されている。

タムロンの業績に今後プラスに働くと思われる要因とリスク要因をそれぞれ2つ解説します。

プラス要因①:自動運転の普及に伴う車載カメラ用レンズ需要の拡大

自動運転技術や先進運転支援システム(ADAS)の高度化に伴い、その技術を実現するために自動車の目となる1台当たりに搭載されるカメラの数は年々増加しています。

タムロンのモビリティ&ヘルスケア事業における車載カメラ用レンズはこの構造的なトレンドに直接アクセスできる立場にあり、自動車のEVシフト・自動運転化が進む中長期にわたって安定した需要成長が期待できます。ドローン市場向けへの展開も、同様に高成長市場への布石となっています。

プラス要因②:監視カメラ・FA市場におけるレンズ需要の拡大

世界的な治安維持需要の高まりや、中国をはじめとするアジア市場における監視カメラの普及拡大により、監視カメラ用レンズの需要は着実に増加しています。

また製造業における自動化・省人化のニーズが高まる中FA・マシンビジョン用レンズの需要も拡大基調にあります。これらの分野は写真関連事業とは異なる需要サイクルを持つため、タムロン全体の業績を安定的に成長させることに寄与しています。

リスク要因①:デジタルカメラ市場全体の構造的な縮小リスク

スマートフォンのカメラ性能向上により、デジタルカメラ市場には長期的な逆風が吹いています。レンズ交換式カメラ市場は高性能化・プロ用途への特化によって一定の需要を維持していますが、デジタルカメラ市場全体の縮小トレンドが続けば、写真関連事業の成長余地が限定される可能性があります。

しかしながら、若い世代でのレトロ写真ブームやSNS向けのクリエイター用カメラ需要の拡大により、2024年からデジタルカメラ市場縮小傾向には歯止めがかかり始めており、再度成長し始める兆しもあるため要注目です。

リスク要因②:OEM供給先への依存度の高さ

タムロンの写真関連事業の売上の大きな部分はOEM供給によるものであり、主要な供給先はソニーグループです。

OEM供給は供給先カメラメーカーの製品戦略・販売動向に業績が左右されるため、供給先が内製化を強化したり、他社への切り替えを行った場合には、タムロンの業績に大きな影響が及ぶ可能性があります。

実際に2025年12月期の決算説明資料を見ると、減収減益の要因に「OEM出荷減」が挙げられているように、OEM需要の変動は業績のブレ要因として継続的に注視が必要です。

まとめ:唯一無二の光学技術力を持つレンズメーカーに注目!

今回はカメラ用交換レンズで世界的な地位を確立しながら、監視・FA・車載・医療への展開を進める光学機器メーカー、タムロン(7740)について分析しました。以下に主なポイントをまとめます。

  • BBARコーティング・eBANDコーティング・手ブレ補正機構など独自の光学技術により、世界的なブランド力と高い開発力を保有している。
  • 2025年12月期は円高影響・OEM出荷減・コスト増により売上850.7億円(▲3.8%)・営業利益166.4億円(▲13.4%)の減収減益となった。一方で、2026年12月期は売上高910.0億円(+7.0%)・営業利益185.0億円(+11.2%)の増収増益への回復を予想。
  • 写真関連事業に加え、監視&FA関連事業・モビリティ&ヘルスケア事業という非写真分野への多角化が進んでおり、EV・自動運転・産業自動化という株式テーマとの関連性を持っている。
  • PER12倍・PBR1.9倍という水準は、ROE14.0%の収益性の高さを考慮すると割安感がある。配当利回り3.6%とインカムゲインが狙える点も魅力的。

タムロンは、世界的に評価される光学技術力をベースに「写真関連事業の安定収益」と「監視・車載・医療という成長市場への展開」という両方の側面を持っている企業です。2026年12月期の業績回復シナリオが実現するかどうかが当面の最大の注目点です。

PER12倍・PBR1.9倍程度という現在のバリュエーションは、やや割安感があり業績回復が確認された段階で株価の見直し買いが入ることが期待できます。デジタルカメラ市場・OEM供給の動向を注視しながら、業績回復のシグナルを確認しつつ中長期で保有していきたい銘柄とみています。

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