個人的に注目している銘柄を1社ピックアップして紹介します。今回は、創業以来55年以上にわたり独立系SIer(システムインテグレーター)として日本の製造業・産業界のICT基盤を支えてきた、株式会社シーイーシー(証券コード:9692)について特集します。
この企業の強みや現在の業績・株価水準の分析結果、今後の成長性・リスクについて、解説していきます。興味があれば参考にしていただけると嬉しいです。
シーイーシーをざっくり評価
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- 収益性
- 3
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- 経営効率
- 2
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- 成長力
- 3
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- 割安度
- 4
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- 株主還元
- 3
- 独立系SIerの中立的な立場を武器に、製造業・自動車・官公庁など幅広い顧客網を持っている
- 製造業のDX推進における高い専門性と豊富な実績があり、トヨタグループも顧客に持つ
- 自社開発のクラウド基盤「BizAxis(ビズアクシス)」を軸に、利益率の高いサービスを展開
- PER11.7倍・PBR1.6倍という水準は、5期連続増収の成長企業としては割安
- 自己資本比率68.4%の非常に健全な財務体質と、配当利回り3.9%の株主還元も強力
- 2031年1月期に売上高1,000億円・ROE20%以上という高い目標を掲げており成長に期待
シーイーシーはどんな企業?
まずはシーイーシーがどんな企業なのか簡単に紹介します。企業の基本情報を以下の表に示します。
| シーイーシー 企業概要 | |
| 会社名 | 株式会社シーイーシー Computer Engineering & Consulting LTD. |
| 証券コード | 9692 |
| 業種 | 情報・通信業 |
| 上場市場 | 東証プライム市場 |
| 設立年 | 1968年 |
| 資本金 | 65億8千6百万円 |
| 従業員数 | 2,550名(連結)(2026年4月1日現在) |
| 事業内容 | ▼ インテグレーション事業 情報システムの企画・コンサルティング等 ▼ コネクティッド事業 製造業向け組込ソフト開発・データ分析等 ▼ ソリューション事業 セキュリティ技術・データセンターサービス |
株式会社シーイーシーは、トヨタグループをはじめとした自動車産業・製造業のデータ分析基盤構築や組み込みソフトウェア開発において業界トップレベルの実績を持つ企業です。1968年の設立以来、独立系という立場を堅持しながらICTシステムサービスに特化してきました。
近年はDX需要やセキュリティ対策需要の拡大を追い風に5期連続増収を達成しています。2025年1月には情報システムサービス株式会社の株式を取得し完全子会社化するなど、M&Aによる成長も積極的に進めています。
シーイーシーのビジネス内容
シーイーシーは、内容別に以下3つのセグメントの事業を展開しています。
インテグレーションセグメント

従来のシステム開発事業を中心に、情報システムの企画からインフラ設計・構築、運用まで、ICT全般をワンストップで提供している事業です。長年の実績を武器に官公庁・自治体向けのシステム開発・保守運用業務などを担っています。最も売上比率が高いセグメントでシーイーシーの主力事業です。
コネクティッドセグメント

製造業・自動車メーカー向けにデータ分析基盤の構築や、組み込みソフトウェアの開発を行っている事業です。その他スマートファクトリー・デジタルエンジニアリングに向けたITサービスを提供しています。製造業DXにおける業界屈指の専門性をもとに、トヨタグループへの納入実績などを持っています。
ソリューションセグメント

情報セキュリティサービスやクラウドデータセンターを生かしたサービスなどを展開。データセンターの保守・運用~業務代行まで行う一元的なマネジメントサービスを提供しています。DX需要・セキュリティ需要の高まりを追い風に成長しています。
シーイーシーの強みとは?
シーイーシーが5期連続増収という優秀な業績を継続できている主な強みを3つ挙げます。
- 独立系の中立的立場とセキュリティ需要の取り込み
- 製造業DXに特化した深い専門性とトヨタグループへの納入実績
- 「BizAxis」によるクラウドシフトと利益率改善の好循環
強み①:独立系の中立的立場とセキュリティ需要の取り込み

シーイーシーは富士通・日立・NEC・NTTといった大手SIerの系列には属さない「独立系SIer」であることが大きな強みです。特定のベンダー製品に縛られず、顧客の課題に最適なソリューションを中立的な立場から提案できるため、顧客企業から高い信頼を得ることができています。
2026年1月期の決算説明資料にも「官公庁向けの大型案件の獲得、セキュリティサービスの伸長が業績に大きく貢献」と説明されており、セキュリティ強化という大きなテーマの需要を継続的に取り込んでいる点で優れています。
強み②:製造業DXに特化した深い専門性とトヨタグループへの納入実績

シーイーシーのデジタルインダストリー事業最大の強みは、自動車産業を中心とした製造業のDX推進において業界屈指の専門性と実績を持つことです。
特にトヨタグループへのデータ分析基盤構築や組み込みソフトウェア開発の納入実績は、製造業特有の複雑な工程管理・品質管理・生産最適化への深い理解なくしては構築できないと考えており、競合SIerとの明確な差別化ポイントとなっています。
この製造業特有の課題解決に特化した専門性が参入障壁として機能しており、長期的な顧客関係から生まれる安定したストック収益を下支えしています。
強み③:「BizAxis」によるクラウドシフトと利益率改善の好循環

シーイーシーは自社開発のクラウド統合基盤「BizAxis(ビズアクシス)」を軸に、既存製品・サービスのSaaS化とクラウドシフトを積極的に推進しています。データセンター事業の再編により、クラウドサービスの収益率が継続的に拡大しています。
クラウドサービスは一度顧客が導入すると継続的なサブスクリプション収益が積み上がるストック型の特性があります。このクラウドシフトの推進が継続的な増収を支えつつ、利益率の継続的な改善をもたらしています。
投資先としてみたシーイーシー

業績の推移
シーイーシーの直近5年間の業績推移を確認します。営業利益率・ROEともに10%付近を継続的に推移しており、収益力・経営効率を維持したまま売上高の成長につなげています。
▼ 直近5年間の業績推移

シーイーシーの業績は極めて安定した成長軌道を描いています。2022年1月期から2026年1月期の5年間で売上高は438億円から658億円へと約1.5倍に拡大し、営業利益は46億円から73億円へと約1.6倍に成長しており、5期連続で増収かつ過去最高益を更新しています。
直近の2026年1月期の大幅増収(前期比+17.2%)は、DX関連投資の需要拡大・セキュリティ対策需要の高まり・官公庁向け大型案件の獲得が主な要因です。2027年1月期は売上高680億円(同+3.2%)と引き続き増加しつつ、営業利益77.5億円(同+5.6%)と利益成長も続く見通しです。
株価の推移
シーイーシーの直近3年間の株価月足チャートを以下に示します。
▼ 直近3年間の株価月足チャート

シーイーシーの株価は2024年後半から緩い上昇トレンドを描いています。2025年3月に中期経営計画の発表や業績の好調さを背景に一時2,400円台まで上昇しましたが、その後は市場全体の調整や一部の利益確定売りを受け1,900円~2,400円のレンジで落ち着いています。
2026年7月時点ではPER11倍台の水準まで低下しており、成長企業としての割安感が際立つ局面となっています。
ファンダメンタルズ分析
▼ 株価水準・業績・株主還元指標(※PER/PBR/配当利回りは2026年7月10日時点で計算)
| シーイーシー 分析指標 | |
| PER | 11.7倍 |
| PBR | 1.6倍 |
| 2026年1月期 ROE | 12.5% |
| 2026年1月期 ROA | 9.1% |
| 2026年1月期 自己資本比率 | 68.4% |
| 2027年1月期 予想配当利回り | 3.9% |
| 2027年1月期 予想配当性向 | 45.4% |
| 直近10年 配当実績 | 増配7回 据置2回 |
| 株主優待 | なし |
PER11.7倍・PBR1.6倍ということから、割安な株価水準といえます。ROE12.5%、ROA9.1%と資本効率の良好さもうかがえます。自己資本比率も68.4%と高い水準であり、経営基盤もしっかりしています。
株主還元についていえば、配当利回りは3.9%と比較的高い水準となっておりインカムゲインが狙えます。直近10年間で7回増配を実施しており、来期も増配を予定していることからも、株主還元を強化していく姿勢がうかがえます。
シーイーシーの将来性

シーイーシーの業績に今後プラスに働くと思われる要因とリスク要因をそれぞれ2つ解説します。
プラス要因①:製造業・自動車産業のDX需要の構造的拡大
近年の日本の製造業において、人手不足・コスト競争・グローバル競争激化を背景に、工場IoT・AIを活用したスマートファクトリー・CASE (Connected/Autonomous/Shared/Electric)対応という大規模なDX投資を急速に進めています。
シーイーシーのコネクティッドセグメントの事業はまさにこの製造業DXの「核心」を担っており、拡大する需要の恩恵を中長期にわたって享受できる期待があります。
特に自動車のEV化・ソフトウェア定義車両(SDV)化の流れは、組み込みソフト・データ分析の業界屈指の専門性を持つシーイーシーに商機をもたらすことが期待されます。
プラス要因②:サイバーセキュリティ需要の急拡大とクラウド移行の加速
企業を標的としたランサムウェア被害や政府・重要インフラへのサイバー攻撃が頻発する中、企業・官公庁のセキュリティ投資は必須のインフラ投資として捉えられるようになっています。シーイーシーは高度なセキュリティサービスを提供しており、官公庁向け大型案件の獲得実績も積み上げています。
また企業の既存システムからクラウドへの移行は5〜10年単位で継続する長期プロジェクトであり、シーイーシーのインテグレーションセグメントの事業と独自クラウド統合基盤「BizAxis」への需要は構造的に継続することが想定されます。
リスク要因①:IT人材不足と採用競争激化による人件費上昇・成長制約
シーイーシーの最大のリスクは、ITサービス業界全体で深刻化するIT人材不足です。DX需要が拡大する一方でSE・プログラマー・クラウドエンジニアなどの専門人材は慢性的に不足しており、採用競争と人件費の上昇が続いています。
2026年1月期に一時的に利益率の改善ペースが鈍化した原因の一つもこの人件費増加であり、人材が確保できなければ受注した案件をこなせず、事業成長の妨げとなってしまうリスクがあります。
リスク要因②:AI技術発展・自動車産業の構造変化による発注減少リスク
シーイーシーの売上の相当部分は富士通グループ・トヨタグループといった大口顧客に依存しています。これらの顧客がAI技術の発展などを理由に内製化を強化したり、発注先の見直しを行った場合、業績に大きな影響が及ぶリスクがあります。
また、自動車産業がEV化の移行期にあり、国内自動車メーカーの業績動向によっては設備投資が縮小され、シーイーシーへの発注も影響を受ける可能性があります。顧客の多様化を進めているとはいえ、特定の大口顧客への依存度の高さは継続的に注視が必要です。
まとめ:製造業DX×独立系SIerの安定成長に期待!

今回は製造業・自動車産業のDXを最前線で支える独立系SIerとして着実な成長を続けるシーイーシー(9692)について分析しました。以下に主なポイントをまとめます。
- 1968年設立の独立系SIer。システム開発からインフラ設計・保守等を手掛ける「インテグレーション」、製造業DXに特化した「コネクティッド」、セキュリティ・クラウドデータセンターサービスなどを手掛ける「ソリューション」の3本柱を持つ。
- 2026年1月期は売上高658.8億円(+17.2%)・営業利益73.4億円(+9.6%)・純利益52.0億円(+28.7%)と5期連続増収・過去最高益を達成。
- PER11.7倍・PBR1.6倍という水準は、過去最高益更新中の成長企業としては割安感がある。
- 来期は過去最高益更新・前期比+10円の増配を予想。今後の増配にも期待。
- 製造業DX・セキュリティ強化の需要拡大による成長が期待できる一方、IT人材不足・AI技術の発展等による発注減少リスクには注視。
シーイーシーは、製造業DX・サイバーセキュリティという成長テーマを持ちながら、5期連続増収・過去最高益更新という実績を持つ実力派の中小型成長株です。PER11.7倍という現在の水準からは、株価の割安感が感じられ上昇余地があるとみています。
中小型株であるため流動性リスクはありますが、TOPIX構成銘柄にも採用されており、中長期保有に適した銘柄といえます。
DX需要・セキュリティ需要の拡大が続く限り業績成長の継続性は高く配当増加も期待できるため、株価上昇によるキャピタルゲイン・配当によるインカムゲイン両方を狙っていく中長期投資戦略がとれる銘柄として注目しています。


